大脳皮質からの情報は、大脳基底核で処理された後、視床を介して再び大脳皮質に戻るというようにループ回路をなしている(大脳皮質-大脳基底核ループ)。大脳基底核の神経回路は、良く知られている直接路(大脳皮質-線条体-淡蒼球内節路)、間接路(大脳皮質-線条体-淡蒼球外節-視床下核-淡蒼球内節路)以外に、ハイパー直接路(大脳皮質-視床下核-淡蒼球内節路)があり、これらの3経路が、大脳基底核の出力核である淡蒼球内節の活動を変化させることにより、随意運動をコントロールしていると考えられる。大脳基底核が障害されると、パーキンソン病やジストニアなどの大脳基底核疾患において見られるように、随意運動の遂行が困難になる。これらの疾患の病態は、3経路を介した活動性のバランスが崩れることで、ある程度、説明がつく。一方、このような大脳基底核疾患において、大脳基底核の一部を小さく壊したり高頻度連続刺激を加えたり(脳深部刺激療法)すると、諸症状が改善されるが、そのメカニズムには不明な点が多い。
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