研究課題
本研究では、神経回路モデルに様々な行為を学習させることで、一つの神経回路の中に階層性が生まれ、行為生成の基本となる運動スキーマを学習する部分と、それらの組み合わせを制御する部分とに役割が分かれることを示した。ここで特に、適切な階層性を自己組織化させるためには、神経回路モデル内の各ニューロンの時定数の違いが重要な役割を果たしていることを明らかにした。また、行為を生成する前に神経回路モデル内の数個のニューロンの発火状態(初期値)を制御することで、その後に生成される運動スキーマの組み合わせパターンを制御できることが分かった。さらに、モデル内の組み合わせを制御する部分を、カオス的な振る舞いをする神経回路に置き換え、これにより多様な運動スキーマの組み合わせを生成出来るかどうか検討を行った。つまり、学習していない行為であっても、カオスの持つ初期値敏感性を利用することで、経験した事のある運動スキーマの組み合わせとして多様な行為を生成する事が出来るかどうかを確認した。具体的には、この新たなモデルをロボットに実装して実験を行った。その結果、ロボットは経験した事のある運動スキーマを利用することで、様々な行為を生成する事が出来た。さらに、ロボットが経験した事のない目標志向行動を行うように指示された場合、様々な行為の中から、与えられた新奇な目標状態にたどり着くための行為を探し出し、行動計画を行うことが出来た。
すべて 2008
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