研究課題
平成20年度は、定量的運動機能評価システムを完成し、24個の手首に関わる筋肉のうち、たった4個の筋活動の表面電極による記録だけで手首の運動の特徴がよく捉えられ、運動指令の定量的な分析が可能であることをまず示した。ハードウェアの一応の完成を受けて、平成20年度はさらに、同上のシステムのリハビリテーションヘの応用に向けた理論面での深化に焦点を絞って研究を進めた。それは、4個の筋活動の時系列から患者さんの異常運動を特徴付けるパラメータを抽出する方法論に関するものである。我々の従来の方法では「筋活動が正常と違う」ことを様々なパラメータを計算することにより結論できたが、その「違い」に関して運動制御の観点から意義付けを行い、病態を評価することは出来なかった。異常の有無を判定するだけなら専門家が患者さんの動きを見れば十分であり、残念ながら、その方が現状では手っ取り早いと言わざるを得ない。病態の機能的意義付け・評価が出来なければ、どういう根拠で次に何をすべき-というエビデンスに基づいたリハビリテーションを行うためのナビゲーションシステムは画餅となる。そこで基本に立ち返り、筋活動分析方法の抜本的見直しを行った。その結果、動く指標を追跡する運動における4個のEMGと対応する手首の動きの分析から、筋活動を予測制御のコントローラに由来する成分とフィードバック制御のコントローラに由来する成分に分離する世界初の成果を得た。この方法論を小脳疾患の患者さんのデータ分析に応用し、小脳疾患では予測的制御のコントローラが特異的に傷害されることを示す、臨床的予測を裏付ける結果をすでに得ている。
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The second IEEE RAS / EMBS hitemational Conference on Biomedical Robotics and Biomechatronics Vol.1(in press)
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