研究概要 |
本年度は、研究実施計画に基づき、伸展による培養筋細胞制御についての研究を行った。すなわち、培養筋細胞C2C12をシリコン膜上に播種し、分化させた後、ストレックス社製ストレッチ負荷装置を用いて伸展刺激を行い、細胞形態、細胞機能について解析を行った。まず、10%程度の伸展率でサイクリック伸展刺激を負荷することにより、ストレス応答性MAPキナーゼ、AMPキナーゼなどの酵素が活性化することがわかった。また、伸展刺激を付加することにより、以前申請者らが発見した運動に応答して筋からの分泌が促進される運動因子(CXCケモカイン群)の発現が促進されることが明らかとなった。さらに、伸展刺激負荷時にストレス応答性MAPキナーゼのひとつであるJNKの阻害剤を添加したところ、この運動因子の産生は完全に抑制されることも明らかとなった(Nedachi他、AJPEM, 2009)。2年間の研究成果をまとめると、継代可能な均質な培養筋細胞を用いて、高度発達型培養筋細胞系、擬似的運動刺激系、伸展刺激系の開発に成功した。これらのモデルは、生体筋でみられる運動効果やストレッチ効果を少なくとも一部再現しており、特に運動効果やストレッチ効果を正あるいは負に制御する新規物質の探索など、様々な分野に有用な生体材料・医用材料であることが強く示唆された。
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