研究課題
アルツハイマー病は、認知障害を引き起こす疾患で、治療法の確立が望まれている。アルツハイマー病の病理学的特徴の一つにアミロイド・タンパク質(Aβ)の凝集・沈着がある。Aβは構造転位によりオリゴマーや線維を形成する。近年、オリゴマーが細胞に強い毒性を示すことが示唆されており、生体膜に穴をあけて(膜孔形成)直接ダメージを与えることや、膜上のイオンチャネルやレセプタータンパク質に結合するなど生体膜を介して神経細胞障害を引き起こすとがえられているが詳細なメカニズムは解明されていない。本研究では、生体模倣モデル膜として巨大リボソームを用いて、Aβと脂質膜との相互作用を解析することを目的としている。Aβは構造転位してオリゴマーや線維を形成する。原子間力顕微鏡(AFM)によってインキュベーション時間ごとのAβの状態を調べ、膜の形態変化に影響を与えるAβの状態を検討した。不飽和脂質DOPCでリボソームを作製し、作製したリボソーム溶液と0〜5日間インキュベーションした各Aβ溶液を混合し、リボソームの形態観察を位相差顕微鏡で確認した。その結果、これまで研究を進めてきた浸透圧刺激と類似した形態変化(fast dynamics : small-endosphare formation)と新たな形態変化(slow dynamics : large-endosphare formation)の2種類の形態転移過程が見つかった。今後は、ラフトドメイン構造を持つリボソームとAβとの評価を行う予定である。
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