研究課題/領域番号 |
20034024
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
瀧口 金吾 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20262842)
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研究分担者 |
本間 道夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50209342)
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キーワード | 巨大人工膜小胞(リポソーム) / 細胞骨格 / 分子モーター / 細胞運動 / 光学顕微鏡 / 人工モデル細胞 / 油中水滴法 |
研究概要 |
生体膜は主に脂質二重膜から成り、周囲の環境やシグナルに応答して形態や性質を変化させる。形態を制御している主要生体因子は細胞骨格であると考えられており、その機構を詳しく調べるために生きた細胞と同等のサイズを持つ巨大リポソームを使った構成的アプローチによる多くの研究が試行されてきた。しかし従来のリポソーム調製法では、分子モーターも含む細胞骨格蛋白質を生理的塩条件下で再構成したリポソームを効率よく作製することができなかった。本研究では、新規のリポソーム作成法である油中水滴法を用いて、任意の濃度の細胞骨格蛋白質を内部再構成させた巨大リポソームを効率よく作製することに成功し、リポソームの形態や再構成された細胞骨格蛋白質の分布の観察比較も行った。 ところで浸透圧は膜に影響を与える環境要因として最も身近な例である。これまでにも膜の浸透圧耐性についての研究は少なくなく、その中にはリポソームを用いたものも存在する。しかし、これまでの調製法では任意の浸透圧を均一にかけることは困難で、浸透圧とリポソームの挙動を正確に対応させることが不可能であった。そこで今回、上記の研究と並行して、やはり油中水滴法を用い、内部に水を持つリポソームをスクロースまたはKCI溶液中に作製することで浸透圧を均一にかけることに成功した。これにより任意の浸透圧をかけることが可能となった。また外液溶質濃度が増加したときの、リポソームが形態変化するまでに要する時間も測定した。その結果、全部で5パターンの形態変化が見られ、そのうちで最も特徴的な挙動としてリポソーム膜の穿孔が見られた。またリポソーム形成から何らかの形態変化が起こるまでの平均時間は溶質の濃度の上昇に伴って減少することが示された。
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