研究課題
細胞は生物の基本的な構成要素で、細胞は自分自身でその機能を保つことが出来る最小単位である。近年大きく期待されている再生医療の実現には、細胞の機能の高度な制御が欠かせないが、どのように細胞を制御するかについては、現在の技術では細胞集団を対象に、一括して簡単な指示を出すことしか出来ない。望ましくは個々の細胞に個別指導をするような形が必要であるが、細胞の外からでは限界がある。このため細胞の内部に直接介入する方法があればよいが、細胞は細胞膜によって自分と外界を隔てている。細胞膜は柔軟で改変作業を受け付けにくく、また改変作業を引き金に自分を分解して死んでしまう。他に、ウイルスが細胞の中に入り込む機能を応用する方法も進んでいるが、ウイルスにより細胞に指示出来る情報と、その量は限定されたものに留まっている。これに対し、代表者らは細胞膜のごく一部に強い酸化反応を引き起こすことで、細胞膜を数百ナノメーターという従来にない大きさで穿孔し、なおかつ数分以内に細胞自身がその孔を修復し、生存する現象を発見した。この穿孔径であれば、様々な分化誘導物質を直接に細胞内へ導入可能と考えられる。本研究はこの技術を発展させ、細胞集団に対する任意のパターンでの物質導入を目指すものである。本年度の成果としては、この穿孔能力を備えかつ量産可能な樹脂シート、及びその自動運用システムの開発に成功した。更に、様々な分野の研究者・技術者がこの穿孔法を実施できるよう、安価な簡易穿孔システムの開発にも成功した。今後このシステムを改良し、印刷技術のように細胞集団に対する物質パターン導入を行えるよう、システムの開発を進めてゆく。
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2008 Annual Report of "Cell Population Function Altering System, Assisted by Robotics Technologies"
ページ: 292-295
http://www.imech.mech.tohoku.ac.jp/Bio-manipulation/People/A02_Koubo/A02-18_saito.pdf