平成20年度は、RNA修飾複合体ネットワーク解析に向けて、次のことを行った。 (1)プロテインノット型RNA修飾酵素のRNA認識機構 TrmHについて、デオキシ体を含むキメラ核酸との反応中間体解析を行ない、本酵素がフレキシブルにD-ループ中のグアニンヌクレオシドの2' -OH基を認識していることを明らかにした。また、本酵素の遺伝子破壊株を解析し、Gm18の修飾がtRNAの安定性に寄与することを発見した。さらに、TrmDについては、サブユニット間のジスルフィド結合形成が酵素自身の安定性に貢献することを報告した。 (2)古典的ロスマンフォールド型RNA修飾酵素のRNA認識機構 Trm1が、まったく新規なRNA認識機構を持ち、G26のみならず、G27もメチル化することを見出した。本研究成果については、予備的な結果を幾つかの学会で報告し、国際学会紀要としてまとめ、現在、さらにデータを足して論文を投稿中である。また、TrmBの遺伝子破壊株について検討し、本酵素によってもたらされるm7G46の修飾が好熱菌RNA修飾ネットワークの鍵となっていることを発見した。現在、その詳細について検討を重ねている。 (3)葉酸依存性RNA修飾酵素の構造・機能解析 TrmFOのX線結晶構造解析に成功するとともに、準定量的な酵素活性測定法を開発し、触媒機構およびRNA結合部位の推定をおこなった。本研究の成果は、Proc. Natl. Acad. Sci. USA誌に報告した。 (4)プロセシング酵素 スプラシングエンドヌクレアーゼの結晶化に成功し、現在、解析中である。
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