研究課題
本研究は、細胞膜に代表される脂質二分子膜に於ける局所的な変形形状に働く力を、主に細胞サイズの小胞を実験系として用いて解明するのが目的である。脂質膜上に局所構造を作る一つの手段は相分離現象を利用する事である。相分離した膜面は条件によってはマイクロメーターサイズの凸凹を作る。相分離現象は一般に2成分以上の混合系で観察される。この膜面の相分離現象は生命現象に関わるラフトと関係が深いと目されてもいる。本研究では、膜をレーザートラップによって直接的に力を測定する実験も実施し、直接的に測った力どベシクルの形態や局所構造の観察の両面から、局所構造が生む力を解明する事を目標とする。本年度は、ベシクルを出来るだけ非侵襲的に変形させる実験系の構築とその力を測定可能な光ピンセット装置の開発を中心に研究を行った。開発した装置を用い、ベシクルを球形・レモン型・突起形状と変形させ、その時の力を測定、理論モデルに結果を当てはめる事で脂質膜ベシクルの張力係数と曲げ剛性率を測定できる事を確認した。これを元にして3成分系相分離ベシクルの力学測定を行い、レモン型から突起形状へかけて力のプラトー領域が観察される事が明らかになると共に、一様状態とは異なる力学プロファイルが得られる事を示した。この結果によって、蛍光観察やNMRなどの従来用いられてきた手法以外でも、力学測定によって相分離ベシクルのダイナミクスが測定可能である事が示された。
すべて 2009 2008
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BOTTOM-UP NANOFABRICATION : Supramolecules, Self-Assemblies, and Organized Films, (Ammican Scientific Publishers) (寄稿)
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