研究概要 |
本研究はショウジョウバエ培養細胞由来のゴルジ体からのクラスリン被覆小胞の形成過程を試験管内で再構成し、クラスリン被覆小胞の形成とクラスリン依存的な小胞輸送の素過程を分子レベルで明らかにすることを目的としている。平成20年度に於いては、Lerp, dGGA, dCHC(clathrin heavy chain)及びAP47(API complex mu-subunit)に対する特異性の高いペプチド抗体を作製し, さらにこれらの遺伝子の安定発現株をS2細胞で作製しその局在解析をはじめとする性状解析を行った。その結果,これらの分子群がショウジョウバエにおいても哺乳動物と同様にトランス側のゴルジ体膜上に局在することが明らかとなった。また、ドミナントネガティブ型変異体の作製、酵母ツーハイブリッドアッセイ及び、生化学的手法を用いた試験管内再構成系を用いて、dGGAがクラスリンと膜蛋白質性カーゴ分子との両方に結合し, これらの分子のゴルジ体膜上での会合を媒介することが示唆された。一方、GFP-dGGAを用いた生細胞における分子イメージングによりdGGAが極めて速いスピードでゴルジ体膜と細胞質問をサイクルしており、この挙動がARF1 GTPaseにより制御されていることが分かった。以上の結果より、これらの因子が共同してゴルジ体膜上におけるクラスリン被覆小胞の形成を行っていることが強く示唆された。更に, エピトープタグを用いたプルダウン実験により細胞のホモジェネートからLerp陽性の膜構造体を単離することに部分的に成功しており, これらの単離膜を用いた試験管内輸送実験が可能になった。
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