独自の研究成果である「植物にスパイラルパターンを発生させる技術」を応用して、複雑な植物細胞ネットワーク上にスパイラルパターンを発生させ、そのスパイラルパターンを器官、組織、細胞レベルのマルチスケールで解析し、スパイラルの中心にある位相特異点で細胞機能が自己崩壊するメカニズムを解明することを試みる。そして、そのメカニズムを利用した新たな細胞機能制御技術についての考察を行う。本年度の研究結果は以下のとおりである。 1. 前年度に引き続き、実験サンプル・実験条件の最適化、実験装置の調整を行った。特に、スパイラルパターンを発生させるための細胞リズムの光制御システムの改良を行い、より高精度でスパイラルを発生させる実験システムの開発を行った。 2. 実験と同時並行で、葉におけるスパイラルパターンのコンピュータ・シミュレーションを行った。特に、サーカディアンリズムの振幅に着目した解析を行い、葉脈による細胞ネットワークの複雑性、不均一性、非局所結合性について調べた。また、スパイラル対消滅のダイナミクスの解析を行った。その他、葉脈ネットワークに関連する研究項目としては、実際の葉脈の写真画像から葉脈パターンを抽出し、それをシミュレーションに利用するためのプログラム開発を行い、実際の実験データとの比較検討を可能とするシミュレーション環境を整えた。さらに、細胞レベルのダイナミクスを解析するために、分子モデルを用いたシミュレーショシに関する考察も行った。
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