内径330μmのハミルトンシリンジを用いて、上皮細胞と間葉細胞の凝集体の接触距離を450μm以下、450μmから900μm、900μmから1500μmと変化させた再構成歯胚を作製した。ここから発生した再生歯胚の将来歯冠に発生する領域の幅を位相差顕微鏡より測定したところ、接触距離が450μm以下の再構成歯胚では再生歯胚の歯冠領域の幅は366±103μm、450μmから900μmのとき584±103μm、900μmから1500μmのとき934±239μmであることが明らかになった。続いて、これらの再生歯胚を腎皮膜下に21日間移植して再生歯を発生させ、実体顕微鏡を用いて再生歯の歯冠の幅の解析をしたところ、接触距離が450μm以下の再構成歯胚では再生歯胚の歯冠領域の幅は497±118μm、450μmから900μmのとき727±271μm、900μmから1500μmのとき1073±186μmであることが明らかとなった。これらの数値から、再構成歯胚作製時の接触距離と再生歯胚の歯冠領域の幅、および再生歯の歯冠の幅の間の相関関係を解析したところ、どちらも強い相関を示すことが判明した。さらに、発生した再生歯について歯尖の数をマイクロCTにより解析した。再構成歯胚作製時の接触距離が450μm以下の再構成歯胚から発生した再生歯では2.9±0.8個、450μmから900μmのとき4.7±3.1個、900μmから1500μmのとき11±2.6個であることが明らかになった。接触距離と再生歯の歯尖の間の相関関係を解析したところ、強い相関関係があることが判明した。以上の結果より、再構成歯胚作製時の細胞操作による接触距離と細胞数の変化に相関して、Macromorphologyとしての再生歯の歯冠領域の幅、およびMicromorphologyとしての歯尖の数が増加することが明らかになった。
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