研究課題/領域番号 |
20034061
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
増原 宏 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任教授 (60029551)
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研究分担者 |
細川 陽一郎 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 特任准教授 (20448088)
岡野 和宣 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 研究員 (00443250)
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キーワード | システム細胞工学 / 組織再構成チップ / フェムト秒レーザー |
研究概要 |
細胞接着席を多数持つ細胞アレイ化基板上にフェムト秒パルスレーザーを用いて生細胞を配列する開発研究に関して、以下の成果を得た。 1) 細胞アレイ化基板:ガラス基板表面に周囲が細胞接着を阻害するパーフルオロアルキル単分子膜(R_f-SAM)でできた数10μmの微小細胞接着席とそれらをつなぐ数μm幅の矩形チャネルからなる構造の細胞アレイ化基板において、アミノシラン処理により細胞接着席とチャネル部分のみにアミノ基を導入した。その結果、基板上の細胞接着席に細胞を選択的に接着するように改良できた。本基板にPC12を播種した後に分化誘導したところ、チャネルにそって神経様突起が成長して細胞同士があらかじめ設計した形にネットワークを形成した。本基板の適応範囲は接着力の弱い細胞からHeLa細胞のような中程度の接着力を示す細胞であった。 2) 細胞配列技術:集光照射が引き起こす局所応力(レーザー誘起マイクロ津波)で培養基板から標的細胞を剥離し、細胞アレイ化基板に配置することには昨年度成功している。本年度は、本法の細胞に与える影響をPC12細胞の分化誘導の観点で評価した。通常のトリプシンで剥離させる方法と比較したところ、両法の結果に差は見られず、トリプシン法では不可能な一細胞レベルの剥離と配置を低ダメージで行えるメリットがあることが示された。津波現象とは異なり、フェムト秒レーザーを基板内部に照射すると表面のR_f-SAM部分が変化し、細胞非接着表面が細胞接着表面に変化する。細胞接着席にPC12細胞を配置した後で細胞間ネットワークを形成するためのチャネル作成を培地中で試みたところ、あらかじめ基板上にチャンネル作成した前記基板と同様に、細胞間ネットワークを形成することができた。本法を用いれば細胞配置後に状態の異なる細胞を判断しながらネットワーク形成が可能であるので、細胞を空間的のみならず時間も考慮して細胞ネットワークを構築できる要素技術と位置付けている。
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