本研究では、界面層制御した高品質な絶縁膜/Ge構造形成技術を確立すると共に、Ge On Insulator(GOI)チャネル層の物性を解明することを目的としている。平成20年度は、(1)絶縁膜/Ge構造形成、(2)GOIチャネル層の結晶性評価、の研究を実施し、以下の成果が得られた。 (1) Ge上への絶縁膜形成として、HfSiOx/HfGeN/GeN/GeおよびHfSiOx/GeO_2/Ge構造を検討した。界面層(IL)にHfGeN/GeNを用いた場合、EOT=2.2nm、ヒステリシスの幅(HW)=0.1V、リーク電流密度(J_<leak>)=10^<-4>A/cm^2台、の良好なMISキャパシター特性を示した。しかし、界面準位(D_<it>)=7×10^<12>cm^<-2>eV^<-1>の大きな値を示した。一方、ILにGeO_2を用いたHigh-k/Ge構造は、EOT=2.8nm、HW=0.1V、J_<leak>=10^<-3>A/cm^2台、D_<it>=1×10^<12>cm^<-2>eV^<-1>、の良好なMIS特性を示した。 (2) 酸化濃縮法で作成したSGOI及びGOI構造のTEM観察を行った。その結果、Ge濃度75%試料では積層欠陥(SF)とMicrotwin(MT)が観測され、100%試料ではMT領域が拡張していた。75%以上のGe濃度領域で正孔濃度が急増することから、SFまたはMTが正孔発生に関与していると考えられる。更に、Ψ-MOS法を用いてチャネル移動度(μ)を調べた処、表面パッシベーションを有するSGOIでは、Ge濃度と共にμは単調増加し、Ge濃度100%試料では440cm^2/V・sの値を示した。しかし、パッシベーション膜を有さないSGOIでは、Ge濃度が50%以上の領域でμは低下した。この現象は、SGOI層厚が薄くなり、表面準位がボトムチャネルに影響を及ぼしたと解釈できる。
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