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2009 年度 実績報告書

アゾ基と典型元素の相乗効果に基づく蛍光性分子の開発と制御

研究課題

研究課題/領域番号 20036015
研究機関東京大学

研究代表者

川島 隆幸  東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011766)

キーワードアゾベンゼン / 光物性 / 蛍光 / 配位結合 / 酸化還元 / 水溶性
研究概要

昨年度までの本特定領域研究において、電子求引性の強いホウ素置換基を2位に有するアゾベンゼンが強い蛍光発光を示すことを見出した。今年度はその染色能力と蛍光発光特性を利用した生体蛍光染色色素への応用を見据えて、水溶性官能基を有するホウ素置換アゾベンゼンを合成することで、生体内への注入時に必要とされる水溶性の向上を図った。4'位にヒドロキシ基を有するホウ素置換アゾベンゼン誘導体は蛍光発光特性を有していたが、水溶化させるためにトリエチルアミンにより脱プロトンしたところ、蛍光が消失した。そこでイオン性官能基として第四級アンモニウム塩を4'位に有する誘導体を合成したところ、蛍光発光特性を保持しつつ、わずかではあるが水に溶解することがわかり、今後の改良に向けての指針を得た。次に、化学的刺激によって蛍光発光特性発現のオン・オフを制御するために、化学的な酸化還元反応による蛍光特性の制御を検討した。ジボリルアゾベンゼンに対して1当量のデカメチルコバルトセンを作用させると、アゾベンゼンアニオンラジカルの青色粘性固体が得られた。トルエン中室温でのESR測定において、g値が2.004であるブロードなシグナルが観測され、アゾベンゼンアニオンラジカルの生成が確認された。ジボリルアゾベンゼンの一電子還元反応の前後における光学的性質を比較すると、還元反応後に赤色から濃青色へと変化するだけでなく、光照射条件下における反応前の橙色の蛍光発光が消失した。還元後の溶液を空気にさらすと直ちに酸素酸化されて元のアゾベンゼンへと戻り、蛍光発光が回復した。すなわち、蛍光性ジボリルアゾベンゼンの蛍光発光挙動を、酸化還元反応によって可逆的に制御できることがわかった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Fluorescence Properties of Simple N-Substituted Aldimines with a B-N Interaction and Their Fluorescence Quenching by a Cyanide Ion2009

    • 著者名/発表者名
      J.Yoshino, N.Kano, T.Kawashima
    • 雑誌名

      J.Org.Chem. 74

      ページ: 7496-7503

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis, Structure, and Reactivity of Pentacoordinate Hydrosilanes Bearing a 2-(Phenylazo)phenyl Group2009

    • 著者名/発表者名
      M.Yamamura, N.Kano, T.Kawashima
    • 雑誌名

      Z.Anorg.Allg.Chem. 635

      ページ: 1295-1299

    • 査読あり
  • [学会発表] ホウ素の特性を活用した機能性分子の創製2009

    • 著者名/発表者名
      川島隆幸
    • 学会等名
      第20回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      桐生
    • 年月日
      20090928-20090930
  • [備考]

    • URL

      http://www.chem.s.u-tokyo.ac.jp/users/hetero/index.html

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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