研究課題
機能性材料として注目を集めている分子性酸化物クラスターであるポリ酸は、希土類元素と錯形成することにより発光や磁性といったさらに新しい機能を獲得する。本研究はポリ酸内の元素を選択的に配置することにより、希土類原子との相互作用を変化させ、その配位環境を制御することにより希土類原子からの発光を制御することを目的とする。本研究で採用する手法の大きな特徴は、[P_2W_<17>O_<61>]^<10->および[P_2Mo_2W_<15>O_<61>]^<10->配位子という電荷及び外形が同一の配位子を用いて合成した一連の希土類錯体を系統的に比較することにより、元素相乗効果による物性変化を抽出し、構造変化をもたらす原因を明らかにする点にある。今年度、[P_2W_<18>O_<61>]^<10->配位子を用いた実験ではLa〜Gdの7種類の希土類原子との錯体を合成し、4種類の構造パターンの化合物が得られた。LaおよびCeの化合物では対カチオンとして用いたNH_4+イオンの濃度に応じて希土類原子の配位数が9のものと8のものの両方が得られた。それに対し、Pr〜Gdの化合物では希土類原子の配位数が8のもののみが得られた。また、[P_2Mo_2W_<15>O_<61>]^<10->配位子を用いた実験では、結晶加速度に応じて、導入したMo原子の配置が変化していた。それ同時に、希土類原子との錯体の構造がside-to-side型からhead-to-head型に変化していることが明らかになり、Mo原子の配置によって希土類原子の配位環境を制御できることが明らかになった。
すべて 2008
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J. Am. Chem. Soc 130
ページ: 10588-10595
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