研究概要 |
(1) [(Cp^<nPro>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](Cp^<nPro>=η^5-C_5Me_4Pr)を用いた絶対不斉光反応の確立 キラル結晶化した[(Cp^<nPra>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)]のPおよびMのヘリカルキラル結晶を選り分け、それらの固体およびアセトニトリル溶液の円二色性(CD)スペクトルを測定した。後者のスペクトルでは、お互いの光学対掌体で明確なミラーイメージのCotton effect示すスペクトル(255, 290, 325, 385nm)が得られ、絶対不斉光反応が進行していることが分かった。なお前者の固体スペクトルは複雑で現在、解析を進めているところである。 (2) Cp*環を化学修飾した[(Cp^RRh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)]錯体の合成と結晶相光反応におけるローカルストレスの解消機構 Cp*配位子のメチル基の一つをエチル基(Et), プロピル基(η-Pr), ベンジル基(Bn), フェニル基(Ph)に置換したCp^R誘導体配位子(Cp^<Et>=η^5-C_5Me_4Et, Cp^<nPro>=η^5-C_5Me_4Pr, Cp^<Bn>=η^5-C_5Me_4Bn, Cp^<Ph>=η^5-C_5Me_4Ph)を有する[(Cp^RRh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)]錯体を合成し、本年度も引き続き " 結晶中に生じたストレスの緩和がどのような要因で起こるのか " ということに着目して研究を行った。つまりCp*環を化学修飾し, Cp環の動的挙動制御や光異性化部位の反応空間制御によって, フォトクロミック反応に対する結晶安定化の新たな要因を探った。この中で、特に[(Cp^<nPro>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SOSO)]では、光反応の初期におこるn-プロピル基の回転による結晶格子のダイナミクスが、反応で生じたローカルストレスと緩和していることをつきとめた。
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