平成21年度の研究では、1) [(Cp^<nPro>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-O_2SSO_2)](Cp^<nPro>=η^5-C_5Me_4(C_3H_7))のキラル結晶を用いて、光異性化を行い、CDスペクトルおよび単結晶X線回折により絶対不斉光異性化反応が進行している確証を得た。そして光異性化で生じた結晶中のローカルストレスがプロピル基のコンフォメーション変化によって解消していることを明らかにした。 2) さらに長鎖のn-ブチル基を有している[(Cp^<nRu>Rh)_2(μ-CH_2)_2(μ-0_2SSO_2)])](Cp^<nBu>=η^5-C_5Me_4(C_4H_9))を合成した。この錯体でも、結晶相光異性化が進行した。この錯体の場合、異性化にともなって生じたローカルストレスがマクロな形で現れ、結晶が光照射によって大きく屈曲する。極めて大きなフォトメカニカル効果が現れた。異性化と結晶の屈曲度合いとの関係を明らかにした。 3) マイクロ波照射を用いた結晶相反応の試み、金沢大学理工学域の安藤利得研究室との共同研究で、これまで合成してきたロジウムジチオナイト錯体に対して、光以外の外部刺激として、マイクロ波照射を用いて結晶相反応が進行するかどうかを確かめたが、現在のところ反応が進行している証拠を掴んでいない。
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