研究概要 |
われわれは、白金四核錯体[Pt_4(μOAc)_8](1)を構成単位とした超分子錯体の選択的合成を目指し、リンカーとしてジカルボン酸を用いて反応を行ったが、制御は困難であった。錯体1に置換活性な平面内架橋アセテートが4つ存在するためである。自在に核数を制御した集積体を得るためには、リンカーとの反応点を限定することが重要であり、この問題を解決するために4つの反応点のうちいくつかを選択的に置換不活性な配位子へと変換することを企図した。これまでに向かい合う2点と隣接する2点を置換不活性なアミジネート配位子で置換した錯体(transキャップ型錯体、cisキャップ型錯体)の合成に成功し、Cisキャップ型錯体とジカルボン酸との反応では白金四核ユニット同士が連結した16[4×4]核の集積体が得ている。本研究では、錯体1中の3つの架橋アセテート配位子の選択的置換を企図した。錯体1にN,N'-Bis{(2-diphgnylphosphino)phenyl}formamidine(Hdpfam)、NaClを反応させることで[Pt_4(μ-OAc)_5(κ^4-N, N, P, P-dpfam)(Cl)_2](2)を赤茶色の粉末として収率32%で得た。また、錯体2とモノカルボン酸との反応により残存の平面内架橋アセテートのみが置換活性であることを確認した。錯体2と各種ジカルボン酸との反応を行い二量体の合成を検討したところ、得られる錯体は錯体2、片方のカルボキシル基を残した錯体と二量体の混合物であり、鎖長の長いジカルボン酸を用いた場合、白金四核ユニット間での立体反発が緩和されるため二量体の生成比が向上することを見いだした。
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