研究課題
ヒュッケル則における8π電子系反芳香族化合物の代表であるシクロオクタテトラエン(COT)は、実際には非平面tub型構造をとるため環状共役せず非芳香族として振舞う。しかし、COTに平面構造を強制すると、反芳香族性を発現することが最近見い出され、平面構造のCOT誘導体には多いに興味が持たれている。これまでに我々は中央に平面性COT骨格を有するシラシクロペンタジチオフェン二量体1を合成し、その平面性COT骨格に由来する性質について明らかにしてきた。本年度はチオフェンのβ位をジメチルシリル基の代わりに硫黄およびスルホニルで架橋したジチエノチオフェン二量体2および3を合成し、1より中央のCOT骨格の平面性が高い化合物であるということを結晶構造解析で確かめた。さらにこの高い平面性を反映して、この中で特に2が最も常磁性環電流が大きく、またHOMO-LUMOギャップが狭いことを1H NMRおよび吸収スペクトルにより確認し、COT環の平面性と反芳香族性の相関について初めて実験により系統に明らかにすることに成功した。さらに予備的に、1の電界効果トランジスター素子を作成したところ、1が10の-3乗程度の移動度を示すp型の有機半導体として振舞うことを確認した。
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