本研究を実施するためには1.多核金属錯体の合成、2.表面吸着錯体種および生成金属層の幾何・電子構造評価、3.触媒活性評価、が相互に連携して親展する必要があることから、全研究期間を通して研究代表者、分担者、連携研究者が得意分野を生かし、協奏的に研究遂行を行った。具体的には、PtRu合金を中心にナノ粒子の作製を試みてきた。本年度は錯体の吸着・熱分解サイクルを繰り返すことによってより高効率化を図った。吸着・加熱処理を繰り返すにつれてPt-Ru合金層の直径の増大が観察された。錯体の吸着・加熱処理を3回行った場合は二次元的なPt-Ru合金のみが得られたが、24回処理を繰り返すと二次元的なPt-Ru合金のみならず、三次元的なPt-Ru合金粒子が見られた。三次元的なPt-Ru合金が修飾されたAu(111)はバルクのPt-Ru合金に近い電気化学的挙動を示し、0.1M HClO_4水溶液中では水素吸着波、0.1M HClO_4および1M CH_3OHを含んだ水溶液中では0.6V付近にMORに特徴的な酸化電流、すなわちMORに対する電極触媒能の発現が観察された。二次元的なPt-Ru合金はバルクのPt-Ru合金とは異なる電子状態であるが、Pt-Ru合金のサイズの増大、三次元化に伴いバルクのPt-Ru合金の電子状態に近づいたものと考えられる。以上の検討に加えて、反応が進行しているその場で触媒ナノ粒子の幾何・電子構造を明らかにする目的で電気化学XAFS法の開発をあわせて行った。
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