研究概要 |
本研究は、金属・キラルブレンステッド酸触媒による新規アリル化反応の開発を主題に、以下の研究計画に準じ20年度の研究を遂行した。 高活性キラルブレンステッド酸触媒の設計・開発 (2) アリルトリメチルシランとイミン類との櫻井-細見アリル化反応への応用 (3) 触媒反応系についての評価 (1) 高活性キラルブレンステッド酸触媒の設計・開発 : ペルフルオロフェニル基の強力な電子求引性と特異的なスタッキング相互作用に着目し、3, 3位にペンタフルオロフェニル基を導入した、新規キラルリン酸触媒の合成を試みた。具体的には、R-ビナフトールから誘導したMOMBINOLの3, 3'位をn-BuLiによりリチオ化後、ヘキサフルオロベンゼンを作用させ、3, 3'位にペンタフルオロフェニル基を有するMOMBINOLを76%の収率で合成した。続いて、文献既知の方法により、脱MOM後、リン酸化を経て、所望の新規キラルリン酸触媒を良好な収率で合成した。 (2)(3)アリルトリメチルシランとイミン類との櫻井-細見アリル化反応への応用と評価 : 得られた新規リン酸触媒を用いて、イミン類への櫻井-細見アリル化反応を試みた。反応は、ベンゾイル基を有するアシルイミンとアリルトリメチルシランを用い、種々の反応溶媒中、1当量のキラルリン酸触媒存在下で行った。いずれの溶媒を用いた場合でも反応は円滑に進行し、特に、トルエンを溶媒として用いた場合に、良好な収率かつ中程度のエナンチオ選択性で目的とするホモアリルアミンが得られた。さらに、ベンゾイル基を種々検討したところ、3, 5位にねtertブチル基を有するベンゾイルイミンを用いた場合に、エナンチオ選択性が飛躍的に向上し、最高99%eeで目的生成物が得られることが明らかとなった。
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