研究概要 |
^<13>CH_4とCH_2=CH_2との反応をH^+交換ゼオライトで行うと, プロピレンが生成する。しかしそのプロピレンはC_3H_6である。このことはエチレンからプロピレンが生成していることを示している。プロピレンが生成するには, 炭素-炭素結合生成反と炭素-炭素結合切断反応の両者の反応が起こることが必要である。問題は, エチレンから選択的にプロピレンを合成することにある。SAPO-34およびH-[Al]-ZSM-5(ゼオライト骨格中にAl^<3+>を含むZSM-5)を触媒として, プロピレン選択率におよぼすエチレン転化率の影響を調べた. エチレン転化率は接触時間(W/F)を変化させることによる値, 流通時間の変化に伴ってエチレン転化率が変化させた。10員環の細孔構造を有するH-[Al]-ZSM-5では, エチレン転化率が低い領域においてもプロピレン選択率は低いものであった。これに対して, SAPO-34を触媒としたときプロピレン収率は, プロピレン選択率がエチレン転化率によらず一定の領域, すなわちエチレン転化率が〜70%までは, エチレン転化率の増大とともにほぼ直線的に増大した. このとき最大のプロピレン収率は〜53%であった. ここでプロピレンの分子径は4.3Åである。一方, H-ZSM-5の細孔入り口径は結晶学的に5.5Åで, SAPO-34のそれは3.8Åである。いずれのゼオライトも3次元構造を有している。従ってSAPO-34の高いプロピレン選択性は, 分子ふるい効果によってもたらされているように思われる。しかしSAPO-34と同じ入り口の細孔構造が8員環構造を有するゼオライト, 即ち結晶学的な入り口細孔径が~3.8Åのゼオライトを用いてエチレンの転化反応を行うと, プロピレンの選択率は用いた触媒に大きく依存する。このことは分子ふるい効果以外の因子によっても, プロピレン選択性が影響を受けていることを示唆している。
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