研究概要 |
プロピレン選択率,およびその生成速度に及ぼすSAPO-34の触媒粒子径,および骨格中のSi量の影響を調べるために,構造規定剤としてtetraethyl ammonium hydroxide(TEOHと略記)またはmorpholineを用いて,水熱合成法によって種々のSAPO-34を合成した。合成した物質がSAPO-34であることは,粉末X線回折,SEM, <27>^Al, <29>^Si, <31>^PのMAS NMR測定によって確認した。また,SAPO-34の構成元素分析はICPによって行った。その結果,SAPO-34の骨格に導入されるSiの量は,morpholineを構造規定剤に用いると,TEOHを用いた時の2倍量であることがわかった。合成温度や合成時間を変化させることによってSAPO-34の粒子径を0.2μmから26μmまで変化させることができた。 合成したSAPO-34を触媒として,エチレン転化反応を400℃で行った。プロピレンの選択率およびその生成速度は,粒子径の影響を強く受けた。例えば,骨格中に含まれるSiの量が同じで,粒子径が小さいほどプロピレンの生成速度は高いものであった。このときプロピレンへの選択率は,粒子径は3μm以下ではおよそ80%であった。これに対して,粒子径が4~17μmでは,プロピレン選択率はおよそ75%であり,26μmの粒子径では25%に低下した。ここで粒子径が~2.5μmのSAPO-34は,エチレン転化率が~70%に達するまで,プロピレン選択率,~80%を維持することができた。粒子径の違いが及ぼすプロピレンへの選択率への影響は,エチレン転化率が大きくなると顕著であった。即ち,粒子径が~2.5μmよりも小さくても大きくてもプロピレン選択率は低くなり,最適な粒子径は~2.5μmであることが分かった。粒子径が小さくなる程,触媒寿命は長くなった。
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