研究課題
生体系に存在する金属含有酸化酵素は、多くの場合、酸素を捕捉・活性化し、基質を部位特異的に酸化している。この時、発現される酵素の基質特異性は、高選択性、高機能であり、いわゆる基質反応場と金属イオンの活性化である。本研究では、酸素を活性化する金属イオンの活性化制御と、基質特異的な反応場を合わせ持つ触媒の構築を遂行した。特に、歪みを導入した銅錯体を開発し、ベンゼンをフェノールへ一段階で水酸化する錯体の合成に成功し、現在常温常圧下でTON40回程度を示した。また、ルテニウム錯体によるシクロヘキセンの酸化反応を均一系で遂行したところ、エポキシ化とアリル位酸化反応が同量進行したが、ルテニウム錯体をナノ細孔であるシリカ多孔体FSMの中に挿入したところ、アリル位酸化反応に対してエポキシ化が選択的に進行することを明らかにした。反応終了後のFSM内包ルテニウム錯体を用いて酸化反応したところ、再度触媒的酸化反応が進行し、この触媒がリサイクル可能であることを示した。この触媒のESRを測定したところ、Ru(III)の特徴的なシグナルが観測され、この酸化反応がRu(III)⇔Ru(V)で回っていることを明らかにした。これらの研究は未来の物質・エネルギーの変換触媒として期待され、低環境負荷で持続可能な社会への貢献が待たれる。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 図書 (1件)
J. Nanosci. & Nanotech. 9
ページ: 307-312
Chem. Commun. 2008
ページ: 392-394
Dalton Trans 2008
ページ: 164-170
Eur. J. Inorg. Chem. 2008
ページ: 3977-3986
J. Am. Chem. Soc. 130
ページ: 16444-16445