生体系に存在する金属含有酸化酵素は、酸素種を活性化し、基質を部位特異的に酸化している。この時、発現される酵素の基質特異性は、高選択性、高機能であり、いわゆる基質反応場と金属イオンの活性化である。本研究では、酸素を活性化する金属イオンの活性化と、基質特異的な反応場を合わせ持つ触媒の構築を目指した。特に、歪みを導入した銅錯体を開発し、ベンゼンをフェノールへ一段階で水酸化する錯体の合成に成功し、現在常温常圧下でTON200回程度を示した。この錯体の反応系へ水を添加すると、触媒としての効率が上昇した。これはベンゼンとフェノールが水の添加により溶解度の差が表れ、収率が上昇したものと思われる。また、フタロシアニン内包ゼライトについて酸化反応を行ったところ、触媒的酸化反応を示すことが分かったが、これに光応答性ルテニウムトリスビピリジンを挿入したところ、光照射下で酸化反応を遂行したところ、触媒効率が上昇した。これは、明らかに光照射により電子移動あるいはエネルギー移動が起こり、反応効率を上昇させたものと思われる。これらの研究は未来の物質・エネルギーの変換触媒として期待され、低環境負荷で持続可能な社会への貢献が待たれる。
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