研究概要 |
我々は既に, 鉄-銅協同触媒を用いるとアルキンのアリールおよびアルキルマグネシウム化反応が良好な収率で進行することを報告していたが, 同様の触媒系がアルキンのアリールリチウム化にも有効であることを明らかにした. これに対して, アリールチウムよりも求核性が高いアルキルリチウムは鉄触媒のみでアルキンに付加することも判った. また, 以前に開発した鉄-銅協同触媒を用いるアルキルGrignard反応剤の異性化反応を応用した, アルキルGrignard反応剤とアルケンの交換反応も開発した. 例えば, シクロペンチルGrignard反応剤と種々の末端アルケンを反応させると, 後者由来の1-アルキルGrignard反応剤が得られる. これらの成果は, 未だ例が多くない協同触媒の分野に新たな触媒系を提供するのみならず, 鉄・銅・マグネシウム・リチウムという何れも安価な金属反応剤を用いて有用な合成反応を実現するという観点からも意義深いものであると言える.
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