研究概要 |
ニオブ酸化物触媒に比べ銅で修飾した触媒は高い活性を示した。また, この触媒系に特徴的な事は, 時間はかかるが, 酸化的脱水素反応がほぼ定量的に進行する事である。生成する水によって強い被毒を受けない。触媒活性と銅の修飾量の相関性について調べると, 1.9mol%の修飾量までは, ほぼ直線的に活性は上昇し, 銅は高分散に担持されるものと期待された。銅は高分散に担持されるものと期待された。銅の構造を調べるために触媒の, 還元後, アルコール接触, 反応中のXAFSスペクトルを検討した。還元後は明らかに, 銅金属の状態であったが, 暗中で, アルコールと接触させる事により, 金属銅の割合が小さくなり, 酸化物のスペクトルとなる。反応が定常的に行われている6時間後のスペクトルではもはや金属成分は全く無くなる事がわかる。これらの酸化物の成分を詳しく見るために, XANESスペクトルのエネルギーに対して一次微分スペクトルを得た。0時間において金属割合はほとんど無くなっており, スペクトル自体は1価の銅と2価の銅との混合物である事を示している。定常状態においては, 1価の銅の割合が減少し, 2価の銅が増加している事が分かる。定常状態において1価, 2価が共存するために, 恐らく反応は銅の酸化還元を含むもめと考えられる。2価の銅は, 酸素八面体に存在するものと考えられるが, 1価の銅に関しては, その構造がわからない。そこで, 銅周りの構造を調べるため, EXAFSスペクトルーのパワースペクトルをもとめた。反応前はかなり大きな銅金属として存在するが, アルコールとの接触, 光照射等により反応中では, fcc(面心立方格子)の特徴をのこす動径分布を与えた。結局, 反応中の銅は, 小さな筏型構造を取っており, 1価-2価の酸化還元挙動を繰り返しているものと結論された。
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