研究課題/領域番号 |
20037043
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
原田 明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127282)
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研究分担者 |
山口 浩靖 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (00314352)
高島 義徳 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40379277)
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キーワード | シクロデキストリン / 触媒 / 基質特異性 / ラクトン / 重合 / ポリマー / ホスト-ゲスト相互作用 / 球状分子 |
研究概要 |
本研究ではホスト分子として環状糖鎖分子であるシクロデキストリン(CD)や複雑な分子を極めて厳密に認識することができるモノクローナル抗体を用いて新規超分子触媒を構築した。先に我々はCDとラクトン・ラクチドを無溶媒で反応させることで、助触媒を用いることなく開環重合を行うことに成功した。今回、さらに高活性な重合触媒を開発することを目的にCDの二級水酸基にエステル基を導入したところ、無置換のCDでは見られない重合活性を示した。β-CDの修飾位置やエステル・アミド結合の違いにより重合活性が異なることがわかった。さらに多数のCDを表面に有する球状分子を合成し、CD球状体表面からのエステルの重合を試みた。金コロイドにチオール化β-CDを添加した後にヨウ素酸化により金コロイドを除去することによってジスルフィド結合を介して多数のβ-CDが連結した球状分子を合成した。このβ-CD球状分子にδ-valerolactone(δ-VL)を添加・加熱し、CD球状体表面からのエステル重合を試みた。その結果、転化率55%でδ-VLの開環重合反応が進行した。^1H NMRの積分強度比より、β-CD球状分子1分子に対して、15ユニットのpoly(δ-VL)が存在していることが分かった。原子間力顕微鏡(タッピングモードAFM)で球状分子を観測したところ、重合前は高さが1.0nmであったのに対し、重合後は15~2.0nmへと増加していることがわかった。β-CD球状分子の表面でポリマー鎖を成長させることに成功した。CD球状体表面で生成したポリマー鎖にα-CDが包接することによりロタキサン構造体が形成され、エステル重合反応がさらに進むことを見いだした。
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