研究課題/領域番号 |
20037056
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
樋口 恒彦 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (50173159)
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研究分担者 |
梅澤 直樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (40347422)
加藤 信樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (50400221)
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キーワード | 分子認識 / 協奏効果 / ポルフィリン / 酸化 / シトクロムP450 / マンガンサレン / カタラーゼ / 反応補助基 |
研究概要 |
平成20年度は以下のように検討を行った。 マンガンサレンに反応補助基を分子内に導入し、そのカタラーゼ様活性を飛躍的に高めることを目的とし、本年度は、ペルオキシダーゼの活性中心付近に存在するヒスチジンのイミダゾール基が、以下のように一般酸塩基触媒として反応を促進していることに着目した。すなわち過酸化水素が鉄原子と錯形成する際にそれを促進する塩基として働き、O-O結合を切断する際には、今度はプロトン化したイミダゾリウムが酸として働き反応を促進する機構である。この機構に基づき同様の機能を有する有機塩基(ピリジン環)を導入した錯体を5種合成した。それらのカタラーゼ様活性をバッファー中で測定すると、ピリジン環を導入しなかったものに比較していずれも高い活性を示した。その中で塩基性の低かったものは相対的に活性も低かったので、塩基としての働きが重要と考えられた。 次に、プロスタグランジンH_2異性化酵素のモデル反応として、ヘムのエンドペルオキシド異性化反応を検討した。当研究室で開発した安定なチオレート配位鉄ポルフィリンであるSR錯体を用いると、極めて高速に異性化反応が進行した。一方、イミダゾール配位ヘムではその速度は1000分の1と遅くなり、クロル配位ヘムでは全く反応が進行しなかった。極度に大きな軸配位子効果が観測された。また、これらの速度とヘム錯体の酸化還元電位(Fe^<III>/F^<IV>)との間に相関が見られ、電位が低いものの方が、異性化反応が早かった。酵素においてはチオレート軸配位のシトクロムP450が異性化反応を行っており、今回見いだしたチオレート軸配位効果は、酵素の合目的性を説明する結果となり意義深いと考えられる。
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