ドーパミンβ-モノオキシゲナーゼ(DbM)、ペプチジルグリシンα-アミデイティングモノオキシゲナーゼ(PAM)、銅含有アミン酸化酵素(AO)、およびガラクトース酸化酵素(GAO)などの酵素触媒反応において重要な役割を果たしている単核銅-活性酸素種の創成と酸化機能の解明および触媒反応への応用を目指して検討を行った。平成19~20年度においては主に、単核銅(II)-ヒドロペルオキソ錯体や単核銅(II)アルキルペルオキソ錯C、およびそれらの異性化や分解過程の中間体として生成すると考えられる単核銅(II)ペルオキソ錯体や単核銅(III)オキソ錯体の反応性について詳細に検討を行ってきた。そこで本年度は、最近ドーパミンβ-モノオキシゲナーゼ(DβM)やペプチジルグリシンα-アミデイティングモノオキシゲナーゼ(PAM)における真の活性種と考えられている単核銅(II)スーパーオキソ錯体に焦点を当て、その合成と構造、各種分光学的特性(紫外可視吸収スペクトル、共鳴ラマンスペクトル、ESRスペクトルなど)および反応性について詳細に検討を行った。特に反応性については不活性な脂肪族化合物のC-H結合の活性化と水酸化に焦点を当て、反応の効率や選択性などについて検討した。更に詳細な速度論的研究やDFT計算を駆使して反応機構の詳細を明らかにすると共に、触媒反応などへの応用をはかった。
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