研究概要 |
ZnIn_2S_4(x=1)光触媒を用い,還元剤として機能するホスフィン酸ナトリウム存在下での硝酸イオンの還元反応における助触媒効果を検討した.助触媒未担持でも本還元反応が進行し,還元生成物として亜硝酸およびアンモニウムイオンが得られた.生成量は亜硝酸イオンの方が多かった.ホスフィン酸ナトリウムを還元剤としてPdおよびNi助触媒を光電着法で触媒上に担持したところ,硝酸イオンの還元に使われた反応電子量は未担持に比べて飛躍的に向上し,Pdでは亜硝酸が,Niではアンモニウムイオンの生成量が多くなった.そこで両助触媒の共担持効果を調べたところ,亜硝酸イオンは得られず,アンモニウムイオンの生成量が向上した.これは,Pd上で硝酸イオンから亜硝酸イオンへの還元反応が優位に進行し,その亜硝酸イオンが近傍のNi上で効率よくアンモニウムイオンへ変換されたためであると考えられる.硝酸イオンの還元反応は,水の還元反応と競争的に進行しているが,全ての系において水の還元よりも硝酸イオンの還元反応の方が優位に進行していることは特筆すべき点である. 次に,NiとPdを共担持したZnGa_xIn_<2(1-x)>S_4光触媒を用いた硝酸イオンの還元反応におけるGaの置換量(x)依存性を調べた.その結果,亜硝酸イオンは全ての組成において生成せず,アンモニウムイオンの生成量は光触媒のバンドギャップの狭窄化,つまり吸収光量の増加に伴って単調に増加し,ZnIn_2S_4組成で最高活性を示した,以上のように,当研究室オリジナルの金属酸化物および硫化物光触媒を用いることにより,可視光照射下における硝酸イオンの還元反応が進行することを明らかにした.
|