X線構造解析によりAz_<ox>とCyt_<red>の二次構造が知られている。各立体構造にプロトンを付加し、各活性部位付近の必要パラメータを各活性部位類似のクラスターモデルを用いて密度汎関数法(UB3LYP/6-31G**/ESP)により見積もった。これらの立体構造を用いてAz_<ox>-Cyt_<red>複合体構造最適化をZDOCKプログラムパッケージおよび独自開発プログラムで予測した。 複合体構造予測について二通りの考え方がある。これらの座標データから(1)クーロンエネルギーおよび分子間力(水素結合を含む)エネルギーが低い順に評価する方法と、(2)タンパク質疎水性相互作用エネルギーが低い順に評価する方法である。本年度はこの二通りのスキームによる安定構造の決定を試みた。 (1)においてAZ_<ox>-Cyt_<red>複合体結合部位は二カ所のターン構造に見られ、Cyt_<red>のAsp157とAz_<ox>のTry72、Cyt_<red>のLys149とAz_<ox>のLys41およびVa143による水素結合部位を確認した。また、(2)においては、Az_<ox>およびCyt_<red>結合部位には疎水性残基が集まり、Az_<ox>のTry72とCyt_<red>のPro188およびGln181による水素結合を確認した。タンパク質内のCuとFeイオン間距離は、モデル1が約22.2Å、モデル2が約15.2Åであった。 現在(1)および(2)における精度の高い溶媒和自由エネルギーの計算手法についての検討を重ねている。
|