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2008 年度 実績報告書

新規オレフィン重合反応を志向した希土類金属錯体触媒の精密設計

研究課題

研究課題/領域番号 20038048
研究機関京都大学

研究代表者

中島 裕美子  京都大学, 化学研究所, 助教 (80462711)

キーワードホスファアルケン / 鉄錯体 / 低原子価錯体
研究概要

ホスファアルケン系配位子は、高い電子受容性を示すことから、オレフィン重合を可能とする電子欠損型の金属中心を実現することがすでに見出されている。本研究では、三座のホスファアルケン系配位子である、ビス(ホスファエテニル)ピリジン(BPEP)を支持配位子とする鉄ジブロモ錯体[FeBr2(BPEP)](1)を合成し、BPEP配位子の電子受容能を評価するべく、錯体1の酸化還元挙動を明らかにした。錯体1はFeBr2にBPEP配位子を加熱条件下で作用させることかより収率29%で得られた。X線構造解析により、錯体1は三座配位子BPEPと二つの臭素配位子に鉄中心を囲まれた、四方錘形構造であることを確認した。錯体1と還元剤KC8との反応を検討すると、一電子還元体としてモノブロモ錯体[FeBr(BPEP)](2)がほぼ定量的に得られた。錯体2の構造はX線構造解析により確認し、錯体1の四方錘形構造において底辺に位置する臭素一つが取り除かれた構造であることを明らかにした。このような錯体2の構造は、四配位の鉄錯体に一般的な四面体形や平面四角形と大きく異なり、これはBPEP配位子が鉄中心に特異な電子状態を構築していることを強く示唆している。本研究では、磁化率測定および理論計算を用い、錯体2の電子構造について詳細に考察し、錯体2は、一価鉄錯体であることを明らかにした。以上の結果は、BPEP配位子が高い電子受容性を有することにより、鉄錯体としては珍しいd7電子配置を金属中心に構築させたことを示している。このような挙動は、類似の三座配位子であるビス(イミノ)ピリジン配位子には観察されず、ホスファアルケン系配位子であるBPEP配位子に特徴的な結果であるといえる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Mechanism of C-P Reductive Elimination from trans-[Pd (CH=CHPh) Br (PMePh2) 2]2009

    • 著者名/発表者名
      Masayuki Wakioka, Yumiko Nakajima, Fumiyuki Ozawa
    • 雑誌名

      Organometallics 28

      ページ: 2527-2534

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of Heterometallic Trinuclear Polyhydrido Clusters Containing Ruthenium and Osmium and Their2009

    • 著者名/発表者名
      Hajime Kameo, Takanori Shim, Yumiko Nakajima, Hiroharu Suzuki
    • 雑誌名

      Organometallics 28

      ページ: 2535-2545

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Drastic Acceleration of Phosphine/Phosphite Incorporation into a Tetrahydrido Ruthenium/Osmium Complex, and One-way2008

    • 著者名/発表者名
      Haiime Kameo, Yumiko Nakajima, Hiroharu Suzuki
    • 雑誌名

      Angew. Chen Int. Ed. 47

      ページ: 10159-1016

    • 査読あり
  • [学会発表] 希土類金属および後周期遷移金属を含む混合型二核錯体の合成と構造2008

    • 著者名/発表者名
      中島裕美子、侯召民
    • 学会等名
      日本化学会第88春季年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-03-29

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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