Pr添加LuAGシンチレーターに加え、BSOシンチレーターにも着目し、GEANT4ソフトウエアを用いたシミュレーションを行い、期待される性能について評価するとともに、ガンマ線と中性子線による放射線耐性試験を行った。シミュレーションによる性能評価は、この二つのシンチレーターの密度およびモリエール半径が互いに近い値であることから、代表してBSOをとりあげ、CsIシンチレーターの場合と比較した。既存のBelle実験で用いられているCsIシンチレーターの長さは30cmで16輻射長に対応する。BSOでは長さ23cmのシンチレーターで20輻射長に対応し、電磁カスケードシャワーの漏れが約半分になる。このため、1GeVのガンマ線に対するエネルギー分解能は、30cm長のCsIでは1.5%であるのに対して23cm長のBSOでは0.8%と顕著に改善することがわかった。放射線耐性についてはガンマ線で最大100グレイ、中性子で最大10^<12>neutrons/cm^2までの照射を行った。ガンマ線についてはどちらのシンチレーターも顕著な光量低下は見られなかった。中性子ではBSOは10^<12>neutrons/cm^2を被曝しても8%の光量低下で実用上問題ないが、Pr添加LuAGシンチレーターは同量の被曝で35%の光量低下を起こしてしまうことがわかった。
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