昨年度のミューオンveto検出器をBelle検出器前に設置して行った測定で、中性子などのバックグラウンドが非常に多く、ミューオンveto検出器の性能を劣化させ、測定の妨げになることが分かった。そこで、中性子起源のバックグラウンドを効率よく遮蔽するために中性子の発生源を調べることにした。Belle検出器の最外層にあるKLM検出器は、RPC(Resistive Plate Counter)から構成されていて、このRPC検出器は中性子に感度がある。また、RPCは電気雑音起因のバックグラウンドは滅多に無く、信号は殆ど全て何がしかの粒子が通過してできたものである。そこで、KLM検出器で信号の発生頻度が高いところに中性子が多く当たっているとして、その二次元マップを作成し、そのデータを外挿して発生源を見つけるという手法と、ポリエチレンのブロックを設置して、設置前の設置後の違いから発生源を探るという方法の2つを使った。その結果、Belle検出器エンドヨークの中心付近、QC1マグネット、Belle検出器から約10メートル離れたQC2マグネットがどうも発生源のようであることが分かった。モンテカルロ法を用いたビームバックグラウンドのシミュレーションの結果、ほぼ今回の結果を再現することも分かった。 トリガーモジュールはトリガーグループから借りることができたので、これを使用した。2010年6月に、Υ(1S)からΥ(3S)までのエネルギー領域でデータを取得した。
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