国際会議CKM2008における情報収集の結果などを踏まえて、研究初年度はB^0→J/Ψ+Φ崩壊の再構成を主に行った。2個のレプトンからJ/Ψ中間子を、2個の荷電K中間子からφ中間子を再構成する。Belleが収集したY(5S)エネルギーの全データを解析した結果、バックグラウンドを含めて103個のB^0→J/Ψ+Φ崩壊の候補を得た。再構成されたB^0中間子の質量と期待されるエネルギーのそれぞれをパラメータとして、信号となるB^0中間子の実効的な個数を求めた。まず、質量・エネルギー期待値の平面上に信号領域を設定した。この中には60個の信号候補を得た。これはあらかじめ行われたモンテカルロシミュレーションの結果とほぼ一致する。ついで、信号は質量・エネルギー期待値の中心に2次元ガウス分布をするものとし、またバックグラウンドは質量・エネルギー期待値の平面内でほぼ一様に分布するものとして、再構成されたB^0中間子ごとの最尤関数法を60個のデータに適用するソフトウェアを開発し、実際に最尤関数法をデータに適用した。その結果、実効的な信号個数は55個(確率91.9±1.7%)と求められた。他方、信号領域内のB^0中間子候補のうち、8.9%はバックグラウンドであるので、バックグラウンドのΔt分布を求める必要もある。前述の解析の結果によって、質量・エネルギー期待値の平面上の信号の分布が明らかとなったので、「ほぼ確実にバックグラウンド」といえるB^0中間子候補も同定することが可能となった。このバックグラウンドイベントを用いてバックグラウンドのΔt分布を決定するソフトウェアを開発し、分布の決定を行う準備をした。
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