研究課題
本研究の目的は、高赤方偏移のIa型超新星を使って、宇宙論パラメータを決めるために、Ia型超新星の絶対的明るさを高い精度で知ることである。現在は、近傍のIa型超新星の光度曲線の巾と絶対的明るさの関係を適用している。しかしながら、ダークエネルギーの状態方程式を赤方偏移の関数として求めようとする場合、Ia型超新星が進化していないか、すなわち、上記の光度曲線と絶対的明るさの関係自体が赤方偏移の関数として変化していないか、という重要な疑問が残る。本研究では、(1) Ia型超新星の爆発と光度曲線の理論的モデルを、SDSSやすばる望遠鏡を使って得られる、多くのIa型超新星の観測データを説明できるように構築し、「そもそも、光度曲線と絶対的明るさの関係が何故生じるのか」という問いに理論的に答える、(2) 赤方偏移の関数として、親星の金属量や元素組成比、回転の程度が変った場合、この関係に違いが生じるのかどうか、(3) その事が、ダークエネルギーの状態方程式の決定の精度にどの程度の影響を与えるのか、以上の諸点を理論と観測の密接な協力により明らかにすることを目的とする。平成20年度は、すばる望遠鏡やSDSSにより、多数のIa型超新星の光度曲線、スペクトルの多量のデータを集め、その中から、Ia型超新星の多様性を示す典型的なサンプルを選んだ。その光度曲線やスペクトルを良く再現する理論モデルを構築する仕事を進めた。そのために、主要なモデルパラメータである56Niの量(明るさを決める)と元素分布(吸収係数に影響して光度曲線の形を決める)に対して、光度曲線を計算するコードで、光度曲線とスペクトルを計算し、最適なモデルを選択した。
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Astrophysical Journal 679
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