ガンマ線の中でもロングバーストに分類されるバーストの少なくとも一部は非球対称性の強い超新星爆発起源であることが観測からも実証されつつある。爆発モデルは解明されていないがコラプサーモデルによるジェット状の爆発が支持されており、そのモデルに基づき親星中心で生成されたジェットのダイナミックスを数値流体シミュレーションによって調べた。 本研究では精密な星の進化過程から計算された現実的な親星モデルを用いて親星の質量、密度構造がジェットと親星外層との相互作用にどのように影響するかを調べた。熱エネルギーが卓越したジェットが生成されたと考え、そのジェットが親星中心付近から外層を突き抜け、星間空間へ進みダイナミックスが自己相似的になるまでを計算した。シミュレーション結果からジェットのエネルギー角度分布を求めた。この分布はジェット軸の付近のほぼフラットな成分とそこから広がるべき的な成分の2成分からなる関数でフィットできた。外側のべき指数はジェットがどの程度広がっているかを表す指標の一つであり、エネルギー角度分布の形状は観測頻度などに影響する。異なる親星モデルを用いてエネルギー角度分布のべき指数を比較したところ、ジェットの条件を固定した場合、親星の質量に大きく依存する結果が得られた。重い親星を通過するジェットほど、親星を突き破ってからは大きく広がり、エネギー角度分布は角度に対してゆるやかに変化する。ジェットの条件を変えた場合、同じ親星でもジェットのパワーが高く、初期の開き角の小さなジェットの方が大きく広がり、エネルギー角度分布はゆるやかに変化する。これは、親星の質量と平均的な密度に正の相関があり、親星中をジェットが通過する時に高密度の方がジェットの閉じ込めがよく効き、パワーが高く、初期の開き角の小さなジェットでも同様の傾向が強まるためであることを圧力分布から明らかにした。
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