本研究の目的は近赤外線カメラANIRに可視チャンネルを開発・付加し、それを用いて南米チリ・アタカマでガンマ線バーストの可視赤外同時フォローアップを行うことである。 可視チャンネルの開発では、必要となるダイクロイックミラー、および再結像光学系の製作をおこなった。さらに、これらを支持する機械系の設計製作、および制御系のソフトウェア開発までを12月までに完了した。 これらを実際にANIRに組み込んで、2009年1月に広島大学のかなた1.5m望遠鏡に取り付けての試験観測に成功した。これにより、可視チャンネルの性能評価、およびにダイクロイックミラーを入れることによる赤外チャンネルの性能劣化評価を行うことができた。可視チャンネルについては、結像精度に大きな問題は見られなかった。ただ、予想通り800nm付近での効率が他に比べて1/3以下と非常に低くなっていることが確認できた。これは、CCDの量子効率が低いためである。ダイクロイックミラーによる赤外チャンネルへの影響は、結増性能についてはシーイングレベル(1)では見られなかった。また、効率も10%程度低下するにとどまり、予想通りの性能が得られた。 ただ、アタカマの1m望遠鏡の立ち上げが遅れて2009年3月にずれこんだために、チリ・アタカマでの実際のガンマ線バーストのフォローアップ観測は行うことができなかった。2009年5月にアタカマ1m望遠鏡でのファーストライトを予定しており、それ以降に成果が期待できるだろう。
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