研究概要 |
近接した金属ナノ構造体間のナノスペースでは、光電場増強などにより表面増強ラマン散乱(SERS)発生効率が向上するために、特にバイオ分析を指向したSERSセンシング場として有効である。本研究では、陽極酸化アルミナ(PAA)膜のアルミナ細孔内にメソポーラスシリカを形成させた複合メソポーラス(HMP)膜[1]を用いた鋳型電析によって、銀ナノワイヤーが3次元的にからみあった銀ナノワイヤー集合体を固体基板上に集積化させ、銀ナノワイヤー間での光増強電場を利用した高感度SERSセンシングを目指した。 らせん状のシリカメソ細孔(12nmφ)を含有するHMP膜を固体電極上に設置し、硝酸銀水溶(0.05MAgNO_3, 0.5MH_3BO_3)中でのパルス電析によって、銀ナノワイヤー集合体を固体電極上に形成させた。形成後、10w/w%リン酸水溶液と0.1Mの熱水酸化ナトリウム溶液によってHMPの酸化物層を除去し、SEMおよびTEM測定を行った。その結果、図1に示すように、固体電極上にロッド状の銀の構造物がSEMにより確認された。ロッド状構造物の微細構造をTEMにより観測したところ、報告例[2]と同様な、シリカメソ細孔の構造とサイズを反映した銀ナノワイヤー集合体であることが示唆された。このような、銀ナノワイヤー集合体のt-BPE溶液中でのSERS測定を行ったところ、t-BPEの両端のピリジル基が銀に吸着したことを示すスペクトルが得られたことから、銀ナノワイヤー間がSERSのhot spotと成りうることが示唆された。
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