デバイスの高性能化に伴い、デバイスの大きさはますます小さくなってきている。そのようなデバイスを作製するためには、高分解能のナノリソグラフィーが必要となってきている。しかしながら、現在の電子ビームリソグラフィー、ディプペンナノリソグラフィー、イオンビームリソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィーでは、解像度、コスト、一般性などの面で十分ではない。たとえば、ナノエレクトロニクスの開発には、20nmギャップの電極間にナノ材料を精密に橋渡しし、電気特性を発現させる必要があるが、現状では困難である。以上を踏まえて、光-分子強結合反応場の実現を目指して、ヘテロナノロッドを作製し、1本のナノロッドの光電変換特性を解明することを目的として実験を行った。具体的には、ナノメートルサイズの多孔性のアルミナテンプレートを鋳型として用いた。テンプレートはナノ細孔を持ったレンコン状の形状であり、この細孔サイズは10-100nmの範囲で選択できる。このナノ細孔内には、任意の物質を、任意の長さに電気化学的に電着させることが可能である。まず、底面を銀で蒸着し、流れる電荷量を調節しながら、逐次的に望み長さの金属、有機分子ナノロッドをナノポーア内で電析させた。たとえば、金/p-型分子ポリマーの複合ナノロッドを作製した。底面の銀を除去した後、アルミナテンプレートを溶解させ、ナノロッドを分離した。その構造を透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡などの表面解析手法を用いて評価した。この際、金属と有機分子間の接合が悪いと、良好な複合ナノロッドを作製できないことがわかった。また、有機ポリマー部分のモノマーの分子構造に依存して、複合ナノロッドの品質が大きく変化することもわかった。今度、光と分子を強く相互作用させることを目指して、ヘテロナノロッドを作製し、一本のナノロッドの光電気化学特性を評価することを行なう。
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