球形の銀ナノ粒子のコロイド溶液に光照射を行うことにより、ナノプリズムを始めとする様々な形状の異方性形状粒子が生成することが明らかにされているが、そのメカニズムは明らかにされていない。本課題は、この現象のメカニズムを解明し、光を利用したナノ粒子の形状制御およびナノ構造体作製の薪たな方法としての可能性を探索することを目的とする。 また、本課題の特徴は、従来の研究のようにコロイド粒子をそのまま用いるのではなく、本特定領域計画班が作製している「ガラス基板上にパターニングされたナノ格子」をモデル系として用いることである。これにより、「反応の追跡」や「プラズモン励起と構造変化との対応」が可能になることが期待できる。 本年度の成果は以下の通りである。 ・光学顕微鏡上にナノ格子を設置し、透過光の吸収スペクトルを測定する顕微分光システムを構築し、ハロゲン化物溶液中における金や銀のナノ格子の形状変化の追跡観察を可能にした。 ・それらの観察の結果、銀コロイド系で存在が示唆されていたハロゲン化物イオンによる銀ナノ粒子のエッチング反応(銀イオンを生成し、これが異方性形状ナノ粒子の基となることを推定)をナノ格子系において確認することが出来た。また、光照射によって、このエッチング反応が促進されることも明らかになった。
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