研究課題/領域番号 |
20044022
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐田 和己 九州大学, 工学研究院, 准教授 (80225911)
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研究分担者 |
竹内 正之 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノ有機センター, グループリーダー (70264083)
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キーワード | 光スイッチ / 分子機械 / 合成化学 / ゲル / アクチュエータ / ダブルデッカーポルフィリン / セリウム |
研究概要 |
高分子ネットワーク(ゲル)と回転構造をもつダブルデッカー(DD)ポルフィリンの分子機械の概念を融合させることで、刺激に応答する分子機械の変位を直接ネットワークに反映させ、分子レベルの変位を増幅し、ミリサイズの材料の変位として取り出すことを目標として研究を進めた。回転の自由度をもつ分子として、ダブルデッカー(DD)ポルフィリンを剛直な共役オリゴマーに組み込み、その両端を多官能性架橋剤により架橋することでネットワークを構築することを試みた。回転部位であるCe(IV)DDポルフィリンの光反応を利用して、中性のセリウム(IV)を系中で光還元し、Ce(III)を発生させることのより、中性のネットワークを有機溶媒中でイオン化させ、その浸透圧を利用して、ネットワークの膨張および収縮を行い、フォトメカニカルシステムとしての性質を明らかにし、アクチュエータの素子としての可能性を探った。 まず、回転子としてダブルデッカー(DD)ポルフィリンの2枚のポルフィリンにもつオリゴマーの合成とネットワークの構築の前段階として、直鎖のオリゴマーの合成を行った。特に剛直なリンカーとしてアセチレンやベンゼン環によって、ダブルデッカー(DD)ポルフィリンを結合させる反応を検討した。 特に菌頭カップリング反応などを用いたオリゴマー化を検討し、モノマーの合成まで完了した。しょがしながら、高分子化には成功しなかった。そこで、イミドを用いて高分子鎖の伸長を行ったところ、4量体の生成が確認され、目標であるフォトメカニカルネットワーク構築の第一歩と考えられる。 同時にモデル反応として、低分子のDDポルフィリンの中心金属であるセリウム(IV)イオンをアミン存在下で光還元することで、ネットワーク内に回転子に負電荷を発生させることが可能であることが明らかになった。
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