研究課題/領域番号 |
20045003
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中山 敦子 新潟大学, 超域研究機構, 准教授 (50399383)
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研究分担者 |
山田 裕 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10242835)
石川 文洋 新潟大学, 自然科学系, 助教 (50377181)
大村 彩子 新潟大学, 超域研究機構, 助教 (60425569)
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キーワード | 高圧物性 / ナノグラファイト / 水素吸蔵 / 配列ナノ空間 / 構造相転移 / ラマンスペクトル / ダイヤモンドアンビルセル / メソカーボンマイクロビーズ |
研究概要 |
グラファイトに代表される配列ナノ空間をもつ炭素π電子系 : MCMB(メソカーボンマイクロビーズ)は、高圧下で水素を吸蔵し、水素との間にハニカム格子を等方的に伸ばすほどの相互作用をおこす。本研究では、水素が炭素π電子系配列ナノ空間にどのような状態で取り込まれているか明らかにし、高圧力の働きで生まれた新しい結合"炭素π電子系一水素間結合"の本質の理解を目的とした。 本年度は、高圧水素中でのMCMBのグラファイト構造のラマンスペクトルの観察から、構造相転移が水素との相互作用により誘起されるグラファイト面内振動の変化に起因することを明らかにした。さらに、我々の予想とは相反して、グラファイトa軸の伸びに対応した面内振動および水素分子内伸縮振動は、加圧によってハード化することもわかった。加えて、X線回折実験では明確でなかった1GPaでの相転移を観察することに成功した。これらの結果を説明するためには、これまで考えてきた「水素は0.6GPa(6000気圧)を境に低圧相では原子、高圧相では分子として炭素配列ナノ空間で凝集する」というモデルの見直しが必要となる。このため、二つの相転移現象を矛盾無く説明するための「ベンゼン環に垂直に突き刺さる水素分子モデル」を提案した。 一方で、1atmと0.4GPaの間の低い圧力領域において、グラファイト面内振動が大きく変化することもわかった。DAC(ダイヤモンドアンビルセル)を用いたルビー蛍光法を用いるこれまでの手法では、この圧力領域での構造変化を捉えることは難しい。そこで、気体・液体用の高圧セルに改良を加え、圧力計を用いた精密圧力発生をおこない、水素中で1atm〜0.4GPaの圧力領域でのグラファイトの構造、振動状態の追跡を次年度の目的とすることとした。
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