本研究では、有機酸とアミンからなる有機塩において形成される超分子クラスターを階層的に組み上げることにより高次構造を構築し、非共有結合性の超分子有機ゼオライトを創製する。形成される配列ナノ空間を用い、通常の環境下では有機材料が達成できない物性・機能を引き出すことを目的とする。また配列ナノ空間の構築に弱い相互作用を利用することで、光や熱など外部刺激により構造変化させ、ダイナミックに固体物性(発光挙動・非線形光学特性・導電性・磁性)の変調が可能な、革新的性能を持つ有機デバイスの作成に挑戦する。本研究を達成することで普遍的に存在する元素を使った有機材料を用い、高度に配列されたナノ空間を利用して通常の環境下では到達できないような安定性や発光輝度を示す物質の創製とその原理の解明を目指す。 1)種々の多環式芳香族にスルホン酸基を導入・合成し、トリチルアミンとの有機塩を作成した。これらの有機塩について、超分子クラスターおよび超分子有機ゼオライトの階層的な構築を行った。 2)超分子ゼオライトの構造をエックス線構造解析により明らかとした。 3)二酸化炭素や酸素などのガス吸着について、それぞれの超分子ゼオライトに関して測定を行い、選択性および特異性を有していることを明らかとした。 4)それぞれのゼオライトに関して、分光測定を行い、蛍光発光性について明らかとした。これにより、内包分子依存的に発光が変化することがわかった。
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