研究概要 |
本研究の研究員的は,主として充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶を育成し,その特徴的なカゴ上構造に起因した種々の物性をフェルミ面研究から明らかにすることである. これまでリン系を中心に多くの充填スクッテルダイト化合物のフェルミ画を明らかにしてきたが,ヒ素系やアンチモン系のスクッテルダイト化合物の研究は,まだ十分にはなされていない.その理由として,大型の純良な単結晶の育成が困難なごとが挙げられる.そこで,本研究では,フラックス法を財いた純良な単結晶の育成を進めるとともに,高圧合成法による単結晶育成を行なっている首都大学・佐藤英行教授のグループと協力し,ヒ素系・アンチモン系のスクッテルダイト化合物の単結晶を得る.さらに,カゴ上構造をもつ新たな物質の物性研究をおこなう.また,微小な単結晶でもドハースファンアルフェン(dHvA)振動の観測が可能なマイグロカンチレバー方式のdHvA検出システムの開発を進めることを本研究の目的とする. まず,本年度は,上記カンチレバー方式のdHvA検出システムの開発を行なった。その成果として,最近注目を集める鉄プニクタイト超伝導体LaFePOのフェルミ面の観測に成功した。単結晶育成で得られたLaFePOは辺が1mm,厚さ0.05mm程度の非常に薄く小さな単結晶であった.ピックアップコイルを用いた通常のdHvA振動・観測システムでは,dHvA振動は観測されなかったが,マイクロカンチレバー方式の観測システムによりdHvA振動が検出できた.LaFePOのフェルミ面は,その形状を反映して二次元的な円筒状フェルミ面をもつことを明らかにした.
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