本研究ではエピタキシャル結晶成長技術で制御した不純物原子オーダリングを利用してGaAs中に窒素ペアの配列ナノ構造を創り上げ、配列構造で制御可能な単一光子生成やコヒーレンスにかかわる新しい量子情報通信機能を実証を目指している。 窒素ペアの配列ナノ空間構造の作製と励起子状態の磁場制御 窒素ペアを配列させて作製するためにわれわれはGaAs(001)表面のオーダリングを利用した。特に(2x4)再構成構造のGaダイマに優先的に吸着する窒素は(001)面上に均一な窒素ペア構造を造ることを見出した。これらペア構造の形状異方性によって励起子は微細構造分裂することを昨年までに見出している。光子源としてこの励起子準位を利用するには微細構造分裂状態を制御することが必要になる。本年度は磁場によって、この励起子微細構造の精密な制御について実証した。その結果、窒素ペアはC_<2v>の対称性を有し、反磁性シフトにゼーマン分裂が重畳した特性を示すことを明らかにした。ゼーマン分離のg値は約5%増加することが本研究より明らかになった。 単一光子デバイスの試作 本年度はデバイス構造を具体的に試作するに当たって、発光波長約0.85μmに対して単一モードの光閉じ込めになるように光ガイド層の最適設計を行った。光閉じ込めにはAlGaAsクラッド層で窒素ペアを内包するGaAs活性層をサンドイッチし、発光強度増大を実証した。
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