研究課題/領域番号 |
20046002
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
初貝 安弘 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80218495)
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研究分担者 |
丸山 勲 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助教 (20422339)
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キーワード | フラストレーション / スピン液体 / ベリー位相 / トポロジカル秩序 / Z_2ベリー位相 / 対称性の破れ / エンタングルメントエントロピー / 量子相転移 |
研究概要 |
フラストレートしたスピン液体相の対称性の破れによらない分類、特徴付けをめざし、トポロジカル秩序、より広くは量子秩序の概念を用いた研究を行った。「トポロジカル秩序相」に関する研究手段にも種々あるが、本公募研究においては幾何学的位相に基づくある種の秩序変数の類似物としてA : 量子化ベリー位相と系の量子論的非局所性の尺度であるエンタングルメントエントロピーを用いた研究を行った。そこでは系の励起に有限のエネルギーギャップが存在すること、並びに時間反転対称性が重要であった。局所的スピンひねりによるベリー位相をもって量子的局所秩序変数とするとき、系に時間反転対称性があるとベリー位相はOまたは-πに量子化する。このベリー位相の量子化値をもって局所的に特徴づけるわけである。B : さらには量子スピン系の基底状態の密度行列から構成したエンタングルメントエントロピーをもって大局的に特徴づけることも試みた。これらは、2つとも量子系固有の量であり、古典的対応物を持たない。そのため、通常の相の理論としては明確な区別な困難な相に対しても有効な相分類が行えることとなるこれら各概念の一層の発展を図るとともに、これらをより広範囲なフラストレートしたスピン系における、「スピン液体相」に対して適用し、各スピン液体相のより深い理解とフラストレーション起源の量子相転移の記述を目指した。具体的にはリング交換模型に対してこの概念、手法を適用し有意義な成果を得た。
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