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2008 年度 実績報告書

スピンカイラリティーによる磁気光学効果

研究課題

研究課題/領域番号 20046004
研究機関東京大学

研究代表者

小野瀬 佳文  東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (80436526)

研究分担者 井口 敏  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (50431789)
キーワードフラストレーション / スピンカイラリティー / 異常ホール効果 / 磁気光学効果
研究概要

フラストレーション系においては、相互作用のせめぎ合いの結果、スピンカイラリティーが有限の非共面な磁気構造がしばしば生じる。そのような系では、電子はスピンカイラリティーに比例する仮想的な磁場を感じる。近年、このスピンカイラリティーが作る仮想磁場による異常な異常ホール効果が注目を集めている。本研究ではスピンカイラリティーを示す物質を開拓し、ホール効果の高周波版である磁気光学効果においてスピンカイラリティー誘起の影響を調べることを目的とする。本年度は、スピンカイラリティー誘起の異常ホール効果を示す(Nd, Ca)2(Mo, Nb)2O7における磁気光学効果の測定を行った。Nd2Mo2O7においては、縦の光学伝導度、カー回転角、カー楕円率スペクトルより得られたホール伝導度スペクトルに中赤外領域(〜0.3eV)にブロードなバンドを観測した。Nb置換するとそのバンドが徐々に高エネルギーにシフトしていき、Ca置換すると低エネルギーにシフトする様子が観測された。そのシフトエネルギーは、Nb置換は電子ドープ、Ca置換はホールドープしていると仮定した場合のバンド計算から期待される化学ポテンシャルのシフトと一致している。このような観測結果は、バンド交差点をもつバンド電子系におけるホール伝導度スペクトルの理論的計算と一致しており、スピンカイラリティー誘起ホール伝導の特徴であるバンド交差点遷移近傍の大きな増大が有限エネルギーで観測されたものであることを示唆している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Rotation of an Electric Polarization Vector by Rotating Magnetic Field in Cycloidal Magnet Eu0.55Y0.45MnO32008

    • 著者名/発表者名
      H. Murakawa, Y. Onose, F. Kagawa, S.Ishiwata, Y. Kaneko, and Y. Tokura
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 101

      ページ: 197207/1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spin-driven ferroelectricity in triangular lattice antiferromagnets ACrO2(A=Cu, Ag, Li, or Na)2008

    • 著者名/発表者名
      S. Seki, Y. Onose and Y. Tokura
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 101

      ページ: 067204/1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Charge dynamics in thermally and doping induced insulator-metal transitions of (Til-xVx)2O32008

    • 著者名/発表者名
      M. Uchida, J. Fujioka, Y. Onose, and Y. Tokura
    • 雑誌名

      Physical Review Letters 101

      ページ: 066406/1-4

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Dimensional Crossover of Low-Energy Magnetic Excitation for Delafossite Oxide Cu1-xAgxCrO2 with a Spin-3/2 Antiferromagnetic Triangular Sublattice2008

    • 著者名/発表者名
      T. Okuda, T. Kishimoto, K. Uto, T.Hokazono, Y. Onose, Y. Tokura, R.Kaiimoto. and M. Matsuda
    • 雑誌名

      Journal of Physical Society of Japan 78

      ページ: 013604/1-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 金属-絶縁体転移系Nd2(Mo1-xNbx)2O7のスピンカイラリティー誘起赤外磁気光学効果2008

    • 著者名/発表者名
      熊倉真一
    • 学会等名
      日本物理学会「秋季大会」
    • 発表場所
      岩手大学
    • 年月日
      2008-09-22

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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